2011年06月26日
世界文化遺産「平泉」のバリアフリー
日本時間の6月26日未明、ユネスコの世界遺産委員会にて「平泉ー仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」の世界文化遺産登録が決定しました
ゆにふりでは昨年11月、「中尊寺と毛越寺」として記事を書きましたが、未掲載のレポートがありますので、掲載したいと思います
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世界遺産条約では、「世界中の顕著で普遍的な価値のある文化遺産・自然遺産を人類共通のたからものとして守る」ことを目的としており、そのためのバリアフリー化に関しての規定はないが、遺産選定地が国内はもとより、海外からも多くの観光客が訪れるようになることは容易に予想される。そのため、今回の視察地である、中尊寺、毛越寺とも外国人観光客への案内も多数見られ、情報のバリアフリーも図られていると言える。
1. 中尊寺
最初の訪問地である中尊寺は、表参道「月見坂」から長い上り勾配が存在し、第一駐車場からのアクセスは不可能に近い。そのため、大型バスの乗降場隣の駐車場から、讃衡堂脇の勾配からアクセスする(ただしここも上りの急勾配である)。
拝観券発行所でもある讃衡堂は、中尊寺の中でも真新しい建物であり、館内も自由にアクセスでき、車いす用トイレも設置してあり利便性が高い。
讃衡堂見学の後、金色堂に向かい拝観券を係員に提示すると、車いすの誘導路を案内頂ける。金色堂内部は通常一方通行だが、出口が階段になっており、車いす使用者は来た道を引き返すことになる。その後本堂方面に移動。本堂前は階段があり本堂へのアクセス不可であった。
駐車場に戻り、月見坂向かいの平泉観光センターへ移動。1階のレストランで昼食を取ったが、併設の土産物店同様、車いす使用者でも問題なく利用できる。
時間が限られた中での視察であったが、総じて言えば、地形状やむを得ない勾配を除けば、車椅子使用者の見学拝見は特に問題がないと考えられる。
2. 毛越寺
続いての訪問地である毛越寺は、境内の中心に大泉が池を湛え、中尊寺とは異なる平坦な地にある。そのようなことから車いすのアクセスに関して言えば、正門向かいにある駐車場からのアクセスも容易である。境内の宝物館には車いす用トイレが設置されるとともに、エレベーターもあり、館内見学も可能である。
宝物館先の本堂にも固定スロープがあり、参拝も可能。境内最大の見所である大泉が池周辺もアクセスできるが、筆者のような手動式車いすでは、砂利道に車いすのタイヤが取られて移動し難い箇所も多いので、介助者がいた方が移動の負担は軽減される。
所感
今回、世界遺産候補地のバリアフリーの現状という視点で視察をしたが、先述した世界遺産の趣旨を考えると、必ずしもバリアフリーの促進には繋がらないであろう。しかしながら、これまで両候補地がバリアフリー化を進め、サイト上でも告知をしていることを考えると、日本の文化施設をより多くの人に広めたいという、物理的な側面以上の日本人のホスピタリティが、端々に現れているように感じた。
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と、大変稚拙なレポートですが、東北の復興の象徴として、多くの方に訪れていただきたいと思います
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参考リンク
平泉町世界遺産推進室
中尊寺
毛越寺